米国税務上の居住者とは?非居住者との違いと判定基準

こんにちは。「米ドル資産運用のコンシェルジュ」米国公認会計士 (CPA) &ファイナンシャルプランナーのトクとく子です。
今回は、アメリカでの税務申告において極めて重要な、「税務上の居住者・非居住者」の判定基準について解説します。
税務上の「居住者」と「非居住者」
米国に赴任する日本人や、日本に住みながらアメリカから家賃収入などの所得を得る方にとって、「米国税務上の居住者か非居住者か」の判定は極めて重要です。
居住者と非居住者では、米国で課税される所得の範囲や申告義務が大きく異なります。このコラムでは、米国居住者か否かを判定する2つの主要な基準「Green Card Test(永住権基準)」と「Substantial Presence Test(実質的滞在基準)」について、わかりやすく解説します。
1.Green Card Test
Green Card Testは非常にシンプルで、米国の永住権(グリーンカード)を保有しているかどうかが基準です。
グリーンカード保持者は、実際に米国に滞在していなくても、米国税務上の居住者として扱われます。これは法律上の居住資格に基づくものであり、Substantial Presence Testよりも優先されます。
2.Substantial Presence Test
Substantial Presence Testとは、一定期間に米国に滞在した日数に基づき居住者か否かを判定するルールです。以下の2つの条件を満たす場合、米国税務上の居住者とみなされます:
- 当該暦年に少なくとも31日間、米国に滞在していること
- 過去3年間(当該暦年+直前2年)の滞在日数を合計し、以下の算式で183日以上となること:
– 当該年の滞在日数×1
– 前年の滞在日数×1/3
– 前々年の滞在日数×1/6
滞在日のカウント方法: 数時間でも米国内に滞在していれば、その日は1日とカウントされます。
例:2025年に100日、2024年に120日、2023年に180日滞在していた場合、合計は100+40 (=120日の3分の1)+30 (=180日の6分の1)=170日となり、居住者には該当しません。
Substantial Presence Testの例外:
特定のビザ(F、J、M、Qの一部、A、Gの一部)保持者や、日米租税条約の適用を受ける場合は、実質的滞在テストの対象外となる場合があります。
今回のコラムでは詳細は記載しませんが、詳しくは専門家に相談されることをお勧めします。
両テストに該当した場合の優先順位
Green Cardを保有している場合は、自動的に居住者と判定され、Substantial Presence Testの判定は不要です。
一方、グリーンカードを持っていない方は、滞在日数に基づくSubstantial Presence Testが適用されます。
居住者と非居住者で異なる申告義務
居住者と判定されると、全世界所得に対して米国での申告が必要になります。これは、日本や他国で得た所得も含まれ、申告書(Form 1040)にて報告します。
また、標準控除や扶養控除などの税制優遇が受けられる一方で、外国金融口座の報告義務(FBAR)も課されます。
非居住者の場合は、原則として米国源泉所得のみが課税対象となり、非居住者用の申告書(Form 1040-NR)にて報告します。
また、特定の控除が制限され、源泉税の適用など複雑な課税ルールが適用さるのです。
まとめ
アメリカ国内で働く、あるいは米国源泉所得を得る日本人は、ご自身が米国税務上の「居住者」なのか「非居住者」なのかを明確にしておく必要があります。
Green Cardの保有の有無、過去3年間の滞在日数、およびビザの種類を確認し、税務上の申告義務を正しく理解しましょう。
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