2025.08.16

米国確定申告のFiling Status徹底解説:居住者・非居住者で異なる申告区分とは

米国確定申告のFiling Status徹底解説:居住者・非居住者で異なる申告区分とは
目次

    こんにちは。米国公認会計士(CPA)&ファイナンシャルプランナーのトクとく子です。今日は、アメリカの確定申告をする際の申告区分、Filing Statusについてお話しします。米国の確定申告制度において、最初に確認すべき重要事項の一つがFiling Status(申告区分)です。この区分は、納税者の婚姻状況や居住者・非居住者のステータスによって決まり、課税方法や適用される控除額、税率に大きく影響します。

    Filing Statusとは?

    Filing Statusとは、納税者がIRS(内国歳入庁、アメリカの国税庁に相当)に提出する申告書で自身の立場を示す区分で、税額計算や控除額の算定基準となります。米国では、婚姻状況・扶養関係・居住要件などに基づき、複数の区分が定められています。

    居住者の主な申告区分

    まずは、米国確定申告をする際に「居住者(U.S. resident)」となる方からご説明します。

    米国税法上の居住者とは、アメリカ市民(米国籍)、永住権(グリーンカード)保持者、アメリカの実質滞在テスト(Substantial Presence Test、過去3年間の滞在日数に基づき判定)を満たす方ですが、詳しくはこちらのコラムをご参照ください。

    米国居住者は、次の主要な区分から選択します。

    • Single(単身、独身)
      婚姻していない、または税法上の配偶者要件を満たさない場合
    • Married Filing Jointly(夫婦合算申告)
      配偶者と合算して申告する方法で、通常は最大限の標準控除額(Standard Deduction)や有利な税率が適用
    • Married Filing Separately(夫婦別申告)
      各配偶者が別々に申告する方法で、特定の控除やクレジットが制限されるが、夫婦間で所得・控除の独立性を確保したい場合
    • Head of Household(世帯主)
      独身者で、扶養対象者のための住居維持費の半分以上を負担している場合
    • Qualifying Widow(er) with Dependent Child(扶養子ありの寡婦(夫))
      配偶者が亡くなった年の翌年と、その翌年の2年間に限り、扶養する同居の子どもがいる場合

    ※婚姻状況の基準日:米国税法では申告対象年の1231日時点の婚姻状況で判断します。

    非居住者の申告区分と制限

    米国税法上の非居住者(Nonresident Alien)は、申告区分に制限があります。基本的にMarried Filing Jointlyは選択できず、以下が主な区分です。

    • Single(単身、独身)
    • Married Filing Separately(夫婦別申告):配偶者が米国外に居住していて米国税法上の居住者でない場合はこれを選択

    例外として、非居住者であっても、米国市民または居住者と結婚し、IRC §6013(g) or (h) election配偶者選択)を行うことで、夫婦合算申告(Married Filing Jointly)が可能です。この場合、非居住者の配偶者も全世界所得(Worldwide Income)を米国税務申告に含める必要があります。

    申告区分の選択が税額に与える影響

    区分によって適用税率、標準控除額、利用可能な税額控除が変わります。例えば、Married Filing Jointlyは標準控除額がSingleの倍となり、税率構造も有利ですが、Married Filing Separatelyは多くの税額控除が利用できない場合があります。非居住者は標準控除が原則として適用されないため、課税所得が高くなる傾向があります。ただし、非居住者が配偶者選択により居住者として夫婦合算申告をする場合は、夫婦合算申告用の標準控除が取れます。

    まとめ

    米国での確定申告の際の申告区分、Filing Statusの選択は、単なる申告上の形式ではなく、税額や申告義務全体に直結する重要な判断です。最適な区分を選ぶことで、不必要な税負担やトラブルを回避できます。

    弊社では「米国確定申告サービス」を提供しています。世界最大手会計事務所での勤務経験を持つ米国公認会計士(USCPA)が、少人数チームならではの柔軟性で複雑な国際税務を迅速かつ丁寧にサポートします。ご自身の状況に合わせた最適なご提案をいたしますので、ぜひ一度ご相談ください。

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